「しびれ外来」をオープンしてもう１０年以上経ちました。

「しびれ」の原因は様々です。「脳」が原因であったり、「頚椎や腰椎」の変形やヘルニアが原因であったり、「昔の骨折」が原因であったり、「末梢神経」が原因であったり、「糖尿病やビタミン不足」などの代謝性疾患が原因であったりと診断が困難な病態です。患者さんは原因がわからないと不安になり、様々な医療機関を受診します。

 

しかし、患者さんにとっての疑問は「どの科に行ったらいいの？内科？脳神経外科？整形外科？神経内科？？？」です。最近になって「総合診療科」という科が増えてきました。これは個人的に非常に良い事だと考えています。欧米や医療の先進国の多くは「家庭医」の制度があります。これは何かの症状が出現した時に、先ずはその「家庭医」に行き、診察を受け、その病態に応じた適切な専門医療施設に紹介する制度です。

 

今までの日本はどうでしょうか？日本ではある症状が出現した時に、自分や家族の判断により自ら「受診する科」を選択しなくてはいけない事が多いのではないでしょうか？それは非常におかしい事でもあるし、場合によっては診断が遅れて、病気が進行し、悪い結果になってしまうかも知れません。それは患者さん側にとって非常に不幸な事です。

 

一方、医療機関側はどうでしょうか？「しびれ外来」をオープンして約１０年経ちました。「しびれ」を訴える患者さんの診察を通算２０００人以上行ないました。ほとんどの患者さんは自分のクリニックに来院される前にいくつかの医療機関を受診されていましたが、その多くの医療機関で「しびれ」は軽くみられる事が多く「しびれは年のせいだから」「しびれは気のせい」「しびれは治らないから」と口々に言われている患者さんが非常に多いのが現状でした。

 

「しびれ」に対する知識を多く持てば「しびれ」にはきちんとした原因があり、治療によって改善、治癒する「しびれ」もある事がわかります。中には「命に関わるしびれ」も存在します。自分は他の一般のドクター達よりも「しびれ」を総合的に診察し、診断、治療する事が出来ると思っています。これは自分に秀でた能力があるわけでなく、単に「しびれ」に興味があり、知識や治療の技術を増やそうと情報を得ているからに過ぎません。一般のドクターが単に「しびれ」に対する興味が薄いだけに過ぎないのです。

 

自分は「しびれ」に原因不明のものは無いと思っています。患者さんが症状を訴えるのだから何かしらの原因があってしかるべきであると考えています。わからない場合は自分にまだその知識が無いだけであると考えるようにしています。